「眠りの空間」

操られた世界に　痛みと奥行きがある　ピントが合いすぎた写真のように　リアルに過ぎる

ここを否定しようとしても　それは叶わない　現実社会にいて　ここには束縛がある

もしもここに　霞がかかっていたら　今どこにいるのか　ボクには解るのに

もし事態に理屈がなければ　ボクは翼を得られるのに

一、ゆっくりと打ち振られる旗　耳を飛ばす爆竹　敗戦直後の上海

二、雪の朝　届いた吉報

三、突然の別れ　車の中の父の顔

それは真実にも似て　事実以上に　心臓を傷める　全てが眠りの中の出来事なのに

飛ぶ夢を見ない　それがまた

重力のくびきという　この世の常で　ボクを騙していく

頭蓋に刻みつけられた言葉　ヒエログリフのように謎めいて　ボクを支配する　誰かの囁き

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　２００５／５／１８