「京都、あるいは第一の宣言」

モニターの裏から日々聞こえる叫び

それを目の前に

ボクはボク自身であることをやめようとはしない

ここは喪失の首都

街角という街角が

日々ナイフで切り取られ

多くのイメージが生まれて８秒後には消える街

東山から暁の光が射られる

鴨川は私の枕

歴史は夢の中を泳ぐ無数の波

ボクは何番目の人間なのか　何代目の夢なのか　ボクという波はいくつあるのか

答えのない質問

安らぎのない久遠

ボクは絶望の角を四つほど曲がってここに来た

希望の翼は折れていた　北東に２７°の角度で

言霊が脳から溢れ出て　街を濡らしていた　雨ともいえない水のひとひら

声の代わりに出て来たのは　過ぎ去った日々だった

歌の代わりに聞こえたのは　未来から来る車輪の音　いつぞや誰かを轢き殺したことのある

日々の移ろいやすさだけが普遍だった

ボクの沈黙が音楽に勝るとき

この街はボクに向かって頭を垂れるだろう

祝福の鐘の音　賞賛の光　朽ちることのない歴史　亡霊達の追放　コードからの解放　額縁からの脱出

モニターの裏から切りかかる刃に

ボクは刀で答えよう

ボクはボクであることをやめようとはしない

ここ、喪失の首都で　

２００５／４／２９